成果
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成果

 看護の質を向上するためにはEvidence-Based Practiceの推進と臨床でのEvidenceを生む研究の実施は不可欠である。現在、多くの病院の看護部では看護研究に積極的に取り組んでいるが、これらの研究は必ずしもEvidenceとなる知識の集積に結びついていない。
 本研究は、臨床の看護職が取り組む看護研究をより意義のあるものにするため、臨床に適した研究モデルの創造とその支援システムの開発を最終目的としているが、本助成の範囲では、1.臨床の看護職が取り組む看護研究の意義と可能性を検討し、2.それに即した研究モデルを新たに検討する。

平成21年度

 看護の質を向上するためにはEvidence-Based Practiceの推進と臨床でのEvidenceを生む研究の実施は不可欠である。現在、多くの病院の看護部では看護研究に積極的に取り組んでいるが、これらの研究は必ずしもEvidenceとなる知識の集積に結びついていない。
 本研究は、臨床の看護職が取り組む看護研究をより意義のあるものにするため、臨床に適した研究モデルの創造とその支援システムの開発を最終目的としているが、本助成の範囲では、1.臨床の看護職が取り組む看護研究の意義と可能性を検討し、2.それに即した研究モデルを新たに検討する。

1. 臨床看護研究に関する文献検討の概要

 医学中央雑誌webを用いて、「臨床」「看護研究」をキーワードに文献検索した結果、2057件の文献が抽出された。その中から、実習に関する文献、疾患・治療に関する文献を除外した結果、1095件となった。さらに、症例研究、大学における基礎教育に関するものなどを除外し、臨床看護研究の実態を示していると考えられる文献を抽出した結果、424件になった。
 424件の文献は、表に示すように原著論文63件、解説361件の大きく2つに分類された。それぞれの内訳を以下に示す。

臨床看護研究に関する文献の概要

分類 テーマ 文献数
原著論文(63件) 1.臨床看護研究の実態
2.臨床看護研究の支援
3.研究成果の活用
4.看護研究の推移・動向
38
17
5
3
解説(361件) 1.看護研究の方法論(一般)
2.臨床看護研究の実態
3.臨床看護研究の支援
4.看護研究における倫理
5.看護研究の推移・動向
254
37
60
5
5
合計424件
2. 臨床における看護研究の実態および組織の看護研究に対するニード調査

 全国の病院より3000病院を無作為に抽出し質問紙を郵送し、郵送による回収を行なった。
 詳細は学会にて発表予定であるが概略は以下の通りである。

  • ・回答数は1130(回収率 37.7%)であった。
  • ・回収施設の分布は母集団とほぼ同様な分布であった。
  • ・回答したうちの986病院(87.3%)が看護研究に取り組んでいる。
  • ・看護研究に取り組む目的の、第一に「スタッフ教育」を挙げたものは61.6%であり、病棟では教育目的で看護研究がおこなわれている。自由記載では「病棟の一体感を高めるため」という記載も多かった。研究本来の「看護ケアの開発」「看護知識の提示」という目的は優先順位が低かった。
3. 2の結果のための管理職への聞き取り調査

(分析中)

4. 上記結果と専門家らにより協議した結果、以下の課題があげられている
  • 1)臨床における看護研究の役割と目的
    臨床で実施されている看護研究の中には、新知見の探究を目指す看護研究、業務改善(問題解決的アプローチ)、継続教育の異なる目的が混在しており、特に教育の要素が大きいことが今回明らかになった。本研究の範囲においては、「臨床における望ましい研究の在り方」を模索することとし、教育を第一義の目的に置く「看護研究」は、「看護実践向上のための思考教育プログラム」という位置づけとし、今後本研究の検討対象に含めないこととする。
  • 2)十分な文献検討(レビュー)
  • 3)人的資源の活用
  • 4)臨床の現場で実施して意味のある研究デザインの明示